2025年10月25日、学生アイデアファクトリー2025 ファイナルプレゼンテーション が日本科学未来館にて開催されました。
本年度は、生物・化学・情報学など多様な分野から計26件のアイデアが提出され、全国から集まった学生たちが、学生ならではの独自の視点と熱意、そして探究心をもって発表に臨みました。
私たちSINAPSは、本イベントにおいて「SINAPS賞」として、
筑波大学・樋野遥さん による研究アイデア
「外来植物の宇宙での利用 ~外来植物と切り開く未来の農業~」
に対し、賞を贈呈いたしました。

本年度のイベントは、生物・化学・情報学など多様な分野から計26件のアイデアが提出され、全国から集まった学生たちが、学生ならではの独自の視点と熱意、そして探究心をもって発表に臨む、非常にレベルの高いものでした。
その多彩なテーマが飛び交う中、樋野遥さんのアイデアはひときわ我々の目を引きました。
受賞者:筑波大学・樋野遥さん コメント
この度は、素晴らしい賞をいただき、大変光栄に思います。
私がこのアイディアを思いついたきっかけは、道端で外来植物を発見したことでした。その強い適応力と生命力に魅了され、この力を人間の生活や社会に応用できないかと考え、応募しました。
今後は、外来植物の生態的特徴を科学的に分析し、そのメカニズムを生活や産業に活かすための実験や文献調査を進めていきたいと考えています。
アイディアファクトリーのプログラムでは、第一線で活躍されている多くの方々から貴重なアドバイスをいただいたり、同じ志を持つ最高の仲間と出会ったりすることができました。この経験は私にとって大きな財産です。
研究を始めるきっかけとなるこの素晴らしい機会をくださりありがとうございます。
研究は特別な場所から始まるのではなく、道端などの日常の中にも存在するということを改めて思わせてくれる、すばらしいコメントでした。このような身近な発見をきっかけとした研究からは素直な探求心が感じられ、日常の中で偶然出会った外来植物から「宇宙での食糧生産」という大きなテーマへとアイデアを広げていく姿勢からは学生ならではの柔軟さと純粋な好奇心が表れているように感じられました。このような探求心・好奇心こそが、研究を続ける上で最も大きな原動力であり、今後の成長や発展につながっていくのだなと実感させられました。
SINAPS賞 贈呈理由と私たちの想い
多くの人が課題として捉える外来植物に、『強く柔軟に生き抜く生命力』という素敵な魅力を見出し、『宇宙での食料生産に活かせるのでは』と考えたユニークな発想。その好奇心を、机の上で終わらせず、実際に霞ヶ浦の現地に足を運んで関係者にお話を伺い、自らの目でオオバナミズキンバイの繁殖状況を確かめた素晴らしい行動力。駆除されていて確認できない場所があるという現実も含め、その地道なフィールドワークのプロセスこそ、自主研究の原点だと感じました。
現在、飼養等許可の申請も進めているとのことで、『火星での作物開発』という壮大な夢に向かって、楽しみながら着実に歩みを進めるその探究心を、私たちは心から称えたいと思います。
研究の「伝える」を応援する、レーザーポインターを贈呈
今回SINAPS賞の副賞として、今後の発表をよりスムーズに行えるようにレーザーポインターを贈呈いたしました。
研究は「発見すること」と同じくらい「伝えること」も大切です。自らの言葉で研究の魅力を共有し、聞き手に新しい視点や気づきを与えることが、次の研究の芽を育てるきっかけにもなります。
今回の贈呈品には、そうした未来の発表活動を後押ししたいという思いを込めました。これから先、研究発表会や学会発表、さらには国際的な場でのプレゼンテーションなど、研究成果を発表する機会がますます増えてくることでしょう。今回のアイデアをさらに発展させた研究報告や、卒業論文・修士論文などの場においてもこのレーザーポインターが役立つことを願っています。
SINAPSはこれからも、自主研究を日常の中から発見して育て、広く発信していく研究者の姿を応援しています。